新作ケーキができるまで・・・
皆さんこんにちは!スーシェフの稲田です。
10月に入り少しずつ涼しくなってきましたが皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
今回は、パティシエがどのように新しいケーキを考えているのか、その過程をお伝えできたらなと思っています。
毎年季節毎に新しいケーキがショーケースを彩っていますが、平均して年間で20種類前後のケーキが構成や見た目を変え登場しています。
その中で僕は毎年半分の約10種類ぐらいを考えています。
ケーキを考える上でまずはじめに大事なことは、当たり前ですが季節感です。
例えば春先だったら桜や苺、夏だったらトロピカル系のフルーツを使ったものなど、
その季節に合わせた素材をまずは決めます。
その次に考えるのが、先ほど決めた季節の素材に合わせる味の構成です。
季節の素材だけで全てを表現するのではなく、副素材としては1~2種類ほど中心となる味を決める事で、それらが絡み合い1つのケーキとしての味が決まっていきます。
例えば王道の組み合わせですが、苺にはピスタチオ、パイナップルにはココナッツなどがあります。
次に決めるのはそれらの素材をどういったパーツに落とし込みケーキとして完成させるかということです。
僕はこのタイミングで実際にケーキの絵を書いて全体の構成や、完成のイメージを決めています。このパーツにはこの素材を使おう、や、こういった質感の生地やムースにしよう、など、ケーキとしては8割~9割ほど完成させるように絵を書きます。
もちろん誰かに見せれるほど絵が上手なわけではありません!w
ここまで考えることができればあとはそれぞれのパーツのレシピ考案をし、試作を行っていきます。 毎回同じ分量で同じような味わいのものを作るのではなく、今回の組み合わせであればこういったバランスのムースにしよう、こういった質感に変えよう、この味はこれぐらい感じてほしい、など細かなバランスを決めていきます。同じ苺のムースでも、味わいが違うのはこういった理由です。
もちろん同じレシピで作ることもありますが、ほとんどの場合ケーキにすこしづつ変化を加えています。
今回秋のケーキとして新しく登場したエトワール。
例えばこのケーキの構成は
下から
パンドジジェンヌショコラ
ヌガティーヌカカオ
ガナッシュショコラ
クレムーブロンド
ムースショコラ
グラサージュショコラオレ
の構成にしています。
ほぼすべてのパーツにショコラを使用したケーキですが、例えばガナッシュは少ししっかりと感じてほしいから重めの仕立てにしたり、
逆にムースは軽めの仕立てにしすっきりと食べきってもらえるようなくちどけにしています。
全てのケーキにこんな風に味わってほしい、や、こんな風に味の変化を感じてほしい、など想いを込めて作っています。
普段食べているケーキがどんな想いで作られて、どのように味のコントラストを表現しているのか、
そんなことを感じながら召し上がってみても面白いのではないかなとおもいます。
今後も秋、冬にむけて様々なケーキが登場予定ですので、楽しみにお待ちいただけたらと思います。